きれいに装飾された音、小手先だけのフレーズの羅列それはただのジャズごっこ
そう、ジャズごっこはもう沢山だ、今こそ本物のジャズを・・・
real sounds real jazz

real records


Swing Journal 2006年1月号 ディスク・レビュー

 誤解を恐れずに言うと、自己表現であるにもかかわらずそこに厳守すべき「型」があるという点に
おいて、ビバップは日本の伝統芸能・芸術〜茶道とか日舞のような〜に共通するものがあると思う。
そして、その型の中で新しい刺激を生み出すことがいかにむずかしい作業であるかということも。
金子亜里紗は、その困難事に真っ向から取り組んでいるピアニスト。そんな彼女のチャレンジの
現時点での成果が、バド・パウエルに捧げられたこのアルバムである。
 この人のピアノを聴いて、まず耳を惹かれるのは、一つ一つのフレーズ、ノートがきわめてていねい
に鳴らされているということだ。そして、そういう印象を生み出すのはおそらく、彼女の、独特と言って
もいい「ノリ」。自身のホームページで金子は、「ビートのオンに対して若干遅れ気味の位置に音を置い
ていくことが、一流と呼ばれるビバップ・ピアニストのスイング感を生み出している」といった主旨のこと
を書いている。そのことは当然彼女自身の演奏にも反映されているわけで、特にミディアムからスロー・
テンポのナンバー(たとえばBやDあるいはE)では、日本人としては異例とも言える重さ、粘り、そし
てそこから導き出される「歌」を表現することに成功していると思う。ここに推進力が加われば、この人
の音楽はさらに凄味を増すのではないか。ゲストの小川高生はあいかわらずいい味だ。(藤本史昭)
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「Our respects to BUD」 ライナー・ノーツより
金子は今年一月「リフタイド」でCDデビューしたが、そのビ・バップ色の強いピアノ・タッチは、
ジャズ通に大いに注目されることになった。実際ピアノ天国の観がある日本で、毎月多くの
ジャズ・ピアニストのCDが登場するが、金子ほどフレーズの強弱を意識したタッチ、個性的
な歌い方は珍しい。そしてこの作品、バド・パウエル・トリビュートだが、日本では人気抜群の
「クレオパトラの夢」が入っていないのが興味深い。売るために演奏するよりは、自分たちに
とってのパウエルを追求しようという姿勢だとすれば頼もしい限り。リスナーの私たちも、プレ
イヤーたる金子の追求するパウエルの魅力とは何か、を意識しながら聴くと、思わぬ楽しみ
を発見できるに違いない。                               (中山智広)
〜ビ・バップの巨匠バド・パウエルに捧げる〜
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金子亜里紗4 セカンド・アルバム 「 Our respects to BUD」 2005/12/14 OnSale!!

《収録曲》
1, Tea For Two
2, Woody'n You
3, Celia
4, Dance of The Infidels
5, Everything Happenes to Me
6, Somebody Loves Me
7, Un Poco Loco
8, Parisian Thoroughfare
9, I'll Keep Loving You (メドレー)
〜Strictly Confidential
10, Webb City
11, Time Was

金子亜里紗 Pf. 
小川高生 As. 
吉田豊 B. 
矢嶋正義 Ds.

2005/9/6〜8 河内スタヂオにて録音


Cat Music Factory
CGCR-1002 定価¥2800(税抜価格¥2667)
2005年12月14日発売